刀剣乱舞で「刀剣」業界を延命する。

      2017/01/31

艦隊これくしょん‐艦これ‐の女性向けがリリースされるらしい。

そう思って事前登録したこのゲームは、システムこそ艦これなど「キャラ集め」ソーシャルゲームを踏襲したもの。

とはいえ、ゲームから離れた場所で、まったく違った動きを見せているように思う。

 

 

SNSでの盛り上がりやグッズ展開、二次創作の動きは、いわゆる「オタク女性」「腐女子」たちに人気を得る作品とそう変わらない。

だが、彼女たちは、美麗な擬人化キャラクターのグッズに飽き足らず、「刀剣そのもの」を求め始めたのだ。
これまで、「刀剣」という趣味は、好きな歴史上の人物の愛刀の模造刀を入手してほくそ笑む……というような、どちらかといえば「歴史好き」からの派生であっただろう。

美術館や資料館の展示でも、メインを張るような事は無かった。

華やかな図屏風や螺鈿細工や、あるいは誰某の直筆の文の影でひっそりと展示されているようなものであったように思う。

鑑賞の仕方も、ほうほう、これがあの誰々の愛刀、と思いを馳せるような扱いだ。

 
そして刀剣というものは、手入れに手間もお金もかかる代物である。

手入れをしなければ錆びていくだけだ。

 

だが、今、各地で「刀剣乱舞ゆかりの刀剣」が展示されている。

刀剣乱舞ファンたちはそこへ大挙して訪れ、熱っぽい目で、「推し刀」の輝きを見つめるのだ。

「元あるじ」、つまり持ち主への思いはほどほどに、その波紋の美しさ、拵えの巧みさに感嘆の声をあげる。

 
ついでに、いかにもお土産物、といった絵葉書やてぬぐいを嬉しそうに買い、周辺の飲食店で食事。

せっかく訪れたのだからと近くの観光地にも訪れる。

 
こうなってくると「刀剣」は、今、重要な観光資源だといえるだろう。

現在ゲームに実装されている刀は50振り足らずだが、他のソーシャルゲーム同様、次々とイベントとともに新キャラが投入されていくに違いない。

新しい彼女たちの「推し刀」が誕生していくのだ。

 
そしてさらに「刀剣」業界が元気になるような話が、「蛍丸復元奉納プロジェクト」だ。
クラウドファンディングを募り、七十年前に失われた「蛍丸国俊」を、現存する資料を元に復元する、というプロジェクトであったのだが、蛍丸のファンたちに一斉に知れ渡り、わずか1日で目標額の約5倍となる2500万円を集めてしまったのだ。
彼女たちは、「蛍丸」がもうこの世にいないことを悲しんでいたから、そこにぴったりとはまった形だ。
現代で、このような大金が「刀剣」のために動く機会はそうないだろう。金が動かないところに人は育たない。失われてはならない刀鍛冶の技術が失われないために、ここまで大金でなくてもいい、出来のいい写しを打つだけでも、刀剣業界は元気を取り戻し、寿命を延ばすだろう。
筆者は、三条で制作された、すこし高価な包丁を購入した。苦手だった魚の三枚おろしがすんなり出来るようになった。

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